床用ワックスの種類と選び方|樹脂・乳化性・油性の違い
「床用ワックス」とひとくくりに呼ばれていますが、膜をつくる成分によって性質も扱い方も変わります。 種類の違いを知らずに選ぶと、床材と合わずにムラが出たり、後からはがしにくくなったりすることがあります。 このページでは、製品を選ぶ前に押さえておきたい分類の考え方と、確認すべき表示項目を整理します。
床用ワックスは「何でできた膜か」で分かれる
床用ワックスの分類でまず押さえたいのは、床の上に残る膜が何でできているかという点です。 大きくは、合成樹脂の膜をつくるタイプと、ろう成分を主体としたタイプに分けて考えると整理しやすくなります。 さらに、その成分を運ぶ液体が水なのか溶剤なのかという軸が重なります。
合成樹脂を水に分散させたもので、乾くと樹脂の膜が残ります。住宅用として一般に流通している製品の多くがこの考え方にあたります。
ろう成分と樹脂などを水に乳化させたもので、しっとりとした仕上がりを狙う製品に用いられる考え方です。
溶剤にろう成分を溶かしたもので、水を嫌う床材に向けて案内されることがあります。においや換気の扱いが水性と異なります。
分類の呼び方はメーカーによって異なります。店頭やカタログの区分名が上記と一致しないこともあるため、名称よりも「適用できる床材」「使えない場所」の記載を優先して読んでください。
水性樹脂タイプが住宅で広く使われる背景
住宅の床向けに案内される製品では、水性の樹脂タイプが選ばれることが多くなっています。理由として挙げられるのは次のような点です。
- 溶剤を主体とする製品に比べ、作業中のにおいの負担が小さいと案内されることが多い
- 住宅で一般的なフローリングやクッションフロアを適用対象に含む製品が多い
- 汚れてきたときに、専用の剥離剤で膜ごと取り除く前提で設計された製品がある
- 重ね塗りのしかたが製品側で案内されており、手順を確認しやすい
ただし「水性だから安心」という意味ではありません。水分に弱い床材や、継ぎ目から水が入りやすい床では扱いに注意が必要です。
乳化性・油性タイプが選ばれる場面
樹脂の膜をつくるタイプ以外が案内されるのは、仕上がりの質感や床材の事情がある場合です。代表的な考え方を挙げます。
樹脂膜の光沢が住まいの雰囲気に合わないと感じる場合、ろう成分を主体とした製品が候補になることがあります。
水分に弱い床材では、水性以外の選択肢を提案されることがあります。ただし溶剤側にも適・不適があるため、床材の指定を必ず確認します。
もともとろう系の手入れをしてきた床では、同じ考え方の製品で続けるほうが仕上がりがそろいやすい場合があります。
全面を一度にやり直すのではなく、気になる場所を都度手入れしたい場合に、扱い方の異なる製品が案内されることがあります。
油性・溶剤系の製品では、においと換気の扱いが水性と変わります。同居する家族の事情がある場合は、選ぶ前に業者へ相談してください。
つや表記(つや出し・半つや・つや消し)の読み方
製品選びで意見が分かれやすいのが仕上がりのつやです。表記は目安として読み、最終的には実物で確認するのが確実です。
| 表記 | 読み方 |
|---|---|
| つや出し(光沢) | 光を強く反射する仕上がりを指す表記です。反射が強いほど、細かな傷やムラも目に入りやすくなります。 |
| 半つや | 光沢を抑えた中間の仕上がりを指す表記です。つや出しとつや消しの中間として案内されることが多い区分です。 |
| つや消し(マット) | 反射を抑えた落ち着いた仕上がりを指す表記です。もとの床材の質感を変えたくない場合に選ばれます。 |
| 表記は製品ごとの相対的なもの | 同じ「半つや」でもメーカーや製品によって見え方が異なります。言葉だけでそろえず、実物やサンプルで確認するのが確実です。 |
業者に依頼する場合は「つやはどうしますか」と聞かれることがあります。希望が固まっていないときは、施工事例の写真を見せてもらい、明るい部屋・暗い部屋それぞれの見え方を確認すると判断しやすくなります。
床材との組み合わせで起きやすい行き違い
表面にあらかじめ保護層のある製品など、メーカーがワックスを推奨していない床材があります。種類を選ぶ前に、そもそも塗ってよい床かを確かめる必要があります。
すでに別のワックスが塗られている床に異なる種類を重ねると、密着せずにムラやはがれが出ることがあります。何が塗られているか分からない場合は、その旨を業者に伝えてください。
水性の製品は水分を含みます。水分に弱い床材や、継ぎ目から水が入りやすい床では、施工の可否と方法を事前に確認します。
ベランダや土間など、屋内用として案内されていない場所に屋内用の製品を使うと、想定どおりの結果になりません。使用場所の指定を確認してください。
塗ってよい床かどうかの確認方法は「ワックスがけができない・不要な床材の見分け方」で手順をまとめています。
製品表示と業者への確認でそろえておく情報
自分で製品を選ぶ場合も、業者に任せる場合も、確認する項目は共通しています。次の内容をそろえておくと、後からの手戻りが減ります。
- 適用できる床材として何が書かれているか(書かれていない床材は対象外の可能性があります)
- 使用できない床材・場所として何が挙げられているか
- 希釈が必要か、原液のまま使うのか
- 重ね塗りの可否と、重ねる場合の手順
- はがすときに使う剥離剤の指定があるか
- つやの区分と、仕上がりの表記
業者に依頼する場合は「どの種類のワックスを使うのか」「その床材に適合しているか」の2点を見積もり時に確認し、回答を書面やメールで残しておくと後で照合できます。